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私はIELTSのスピーキングテストの審査官をしています。IELTSを受験される皆様にスピーキングテストでよりよい結果を出すためのアドバイスを少しさせていただきます。とは言っても魔法のような方法があるわけではなく、やはり良い結果を出すには何年にもわたる英語学習があってこその話です。今回のアドバイスというのはスピーキングテストをより円滑に進め、どうやって審査官にあなたの本当の英語力を示すかという事です。

まず最初に試験室に受験者と審査官が一緒に向かうわけですが、その道中でいくら審査官にフレンドリーに接しても1ポイントももらえません。そこで好印象を与えようとしてくる受験者がけっこういるのですが、ハッキリ言って無意味です。もちろん自然な雑談等をリラックスの為に交わすのは良いのですが、明らかに難しいトピックスを話して英語力を誇示してきたり、やたらとフレンドリーに接してきたりする受験者がいますが、審査官は試験が始まるまでの事は一切、参考にしませんので、それらの行為は時間の無駄ですし、時に逆効果にしかなりません。

IELTSの審査官は、すべてのセクションをそれぞれの設定時間内に必ず終わらせなければならない。また試験を決められた方法通りに進めなければならないと決まっています。

受験者は試験をスムーズに進める事だけをを心がけてください。

スピーキングテストはパート1~3の3部構成になっています。審査官はパート1をウォームアップと考え、パート3で受験者のグレードを決めます。

パート1の目的は2つ、セキュリティ・チェックとウォーミングアップです。審査官はあなたの名前と出身地を尋ね、パスポートの提示を求めます。 パスポートを事前にカバンから出して、すぐに顔写真のあるIDページを見せれるように準備しておいてください。 カバンからパスポートを探したり、写真のページを探したりしている間も試験時間を無駄にしているのです。

(例)パート1

質問) Let’s talk about cooking. how often do you cook?

適切な答え)I usually cook about four times a week.

悪い答え) I usually cook about four times a week.  I like cooking. I really like spicy food so my favorite food is curry. I cook curry once a week. My daughter really likes curry as well. She sometimes helps to cook the curry. On Saturdays we eat pasta…

質問に対する答え以上の回答をしても、何のポイントにもならないし、日本語で「週何回ぐらい料理するの?」って聞かれたら「3回ぐらい」って簡単に答えますよね? それがコミュニケーション能力です。受験者は自分の英語力を審査官にたくさん見せようとしているのでしょうが、パート1では聞かれたことに対して、短く簡潔に1つか、2つまでの文章で答えて下さい。審査官はあなたの話を遮って、次の質問をする事はありません。つまり、あなたが余計なことを話していると知らないうちにパート1の試験時間は終わってしまいます。

パート2では用意されたトピックスに合わせて1-2分のスピーチを求められます。 1-2分とされていますが、審査官に印象を与えるには最低でも1分45秒話す必要があります。用意されたトピックスで即興でスピーチをするのですが、絶対に事前に暗記したスピーチを使わないで下さい。IELTSの審査官はとても経験がある英語の専門家で事前に用意して暗記していたスピーチか、今考えたスピーチかを見抜く事は本当に簡単です。

(例)パート2

質問) …. Talk about a TV program you watched recently.

回答)A few weeks ago, I watched a documentary on the Japanese baseball player, Ichiro.”

ここまでは大丈夫ですが…

Ichiro Suzuki is a professional baseball player. He was born on October 22nd 1973 in Toyoyama-cho, near Nagoya. He now plays for the Miami Marlins, but he is most famous for his time at the Seattle Mariners…

英語としては正しくても、これだと明らかに暗記していたイチローに関するスピーチだと見抜かれるてしまうのです。私たちでも即興で日本語スピーチを、こんなにスラスラ細かい情報を含めて話せないですよね?

質問) …Talk about a sport which is popular in your country.

Baseball is very popular in Japan. Many people like the baseball player Ichiro Suzuki. He was born on October 22nd 1973 in Toyoyama near Nagoya. He now plays for the Miami Marlins, but he is most famous for his time at the Seattle Mariners…

こうやってスピーチを暗記しておけば、色々なトピックスに応用出来て便利ですよね?ただこれだと審査官にすぐ準備していた答えだとバレてしまうのです。自分の言葉で、その場で考えながらスピーチをしましょう。実際のところ審査官は事前に準備して暗記したスピーチには何のポイントも与えません。詰まりながらでも、その場で考えながらスピーチをしてください。審査官はその辺の所も良く見ているのです。

パート3はディスカッション形式で、パート2に関連したトピックスに関連した質問を審査官から受け、それについてディスカッションしていきます。ここでは審査官は受験者が与えられた質問の意図を正しく理解し、それを洗練された考えで説明や理由を、印象的なボキャブラリーを使い流暢に話せているかどうかをチェックします。もし審査官があなたのグレードを5か6?6か7?7か8のように決めかねていたら、ここですべてが決まります。

審査官からの質問には3つのレベルがあります。一番難しい質問にたどり着かなければ受験者が仮にバイリンガルであってもグレード6以上はもらえません。審査官は受験者の最初の質問の答えを受け、次の質問を決めます。最初の質問で受験者は積極的に答えて審査官にもっと難しい質問にも答えられるという印象を与えて下さい。そうでなければ審査官は次に一番難しい質問をせず、結果グレード6以上を取ることができないのです。

特に帰国子女やバイリンガルに近い人に多いのですが、パート3であまり積極的にディスカッションをしようとしないのです。“Um, well, I don’t know. Maybe both, I guess.” のように流暢な英語で簡単に答えるだけでは質問の確信までたどりつけないですし、いくら受験者がネイティブに近いレベルであっても、それを審査官に見せなければ審査官は高いグレードを与える事はできないのです。

もし皆様の中でIELTSの受験を考えておれる方は私のアドバイスを是非参考に高グレードに挑戦して見て下さい。

作者:R.K/イギリス

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